国や会社の制度を賢く利用して、長く働く。社会全体で防ぐ、介護離職。

家族などの介護のために離職する人は、年間約8〜10万人にも上っています。男女別に見ると、女性が約8割、年齢では50〜60代が中心です。総務省の調査では、平成23年10月から平成24年9月の1年間に介護や看護を理由に離職した人は10万人を突破したといいます。

家族に介護が必要になったら

 介護保険制度をどのように利用したらいいのか、いざとなったときにうまく活用できるか心配という人も多いのではないでしょうか。 また、介護は家族がするもの。そんな意識の人も、少なくないと思います。
その一方で、一度仕事を離れてしまったら、同じ職場への復帰が容易ではない場合もあると思います。かといって働きながら介護ができるものなのか、不安ですね。

今回は、会社員が家族の介護をする場合に利用できる制度や、相談先などについてご紹介します。

介護離職を避けるために

会社員が家族の介護にあたる場合に利用できる制度をいくつかご紹介します。

<まとまった休みが必要な場合>
「要介護状態」の家族を介護する会社員などは、育児・介護休業法に基づいて、「介護休業」を取得することができます。配偶者や子供などが対象で、家族1人につき要介護状態になるごとに3回を上限として通算93日まで取得できます。原則2週間前までに書面などで会社に申し出る必要があります。介護休業期間は無給ですが、復職後に「介護休業給付金」を受け取れます(給付額は原則、休業開始前の給与水準の67%)。

<不定期に数日休みが必要な場合>
要介護状態の家族が1人の場合は年に5日、2人以上の場合は年10日まで半日単位で「介護休暇」という休暇が取得できます。

<時間の調整が必要な場合>
「勤務時間の短縮制度」は介護休業とは別に、企業が短時間勤務やフレックスタイム制などから少なくとも1つの措置を講じるよう義務付けられています。ほかにも「法定時間外労働の制限」、「深夜業の制限」もあります。

こうした制度により、会社は介護による離職者を減らし、経験を積んだ従業員を長期的に雇用することで安定した人材の確保が可能になるというメリットがありますので、遠慮することなく積極的に会社へ相談すべきでしょう。また、国は介護保険制度も用意しています。 家族に介護が必要な状況になったら、まずは会社や市区町村の介護保険の担当窓口、または地域包括支援センターに相談することをおすすめします。

気持ちにゆとりを

離職して介護に専念してしまうと外部とのつながりが少なくなり、社会から孤立した気持ちになって思いつめてしまうことがあります。短い時間でも家族介護から離れる時間をつくることをおすすめします。気分転換にパートで働くことは経済面でもメリットがあります。そんなとき、家族を介護する状況をよく理解してくれる介護業界への転職・復職も、選択肢のひとつです。

介護事業所は全国にあって、近所で短時間から就業できる機会も多くあります。 また、介護業界は国がキャリアパスを推奨していることもあり、中途採用者がキャリアアップをめざせる環境が整っているので、第二のキャリアを築いていくことも可能です。 家族介護の期間中に、落ち着いたら自分がどう働くかのビジョンを持つことは、気持ちのゆとりに繋がります。

介護離職は、当人だけでなく、会社や社会にとっても損失です。 会社や行政に早めに相談することで、家族介護にひとりで悩むことなく、自分に合った対応を求めることができる社会になりつつあると思います。

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