退職後でも傷病手当金は受給できます
病気やケガで仕事を休んだときには傷病手当金が支給されますが、勤務先によっては、有給休暇が消化されれば退職せざるを得ない場合もあります。
その場合、傷病手当金は、その額より多い報酬を得ている場合は支給されませんので、退職時まで受給できないことになります。
傷病手当金は健康保険から支払われるため、基本的には会社の加入する健康保険に加入していることが前提になっていますが、以下の条件を満たせば、退職後でも受給することが可能です。
条件1:資格喪失日の前日まで継続して1年以上被保険者であったこと
会社を退職して被保険者資格を喪失した場合、『資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間があること』とされています。
つまり、会社の健康保険に加入してから少なくとも1年間は被保険者だったという事実が必要になります。1日でも足りない、雇用期間中に被保険者でない期間があると、受給条件を満たしていないことになります。
条件2:退職日に労務不能であること
基本的には退職日の翌日に健康保険の資格を喪失します。ただし、『退職日に出勤したときは、給付条件を満たさない』と判断されるということです。
退職日に出勤していると、就業が可能だと判断されますので、退職日に引き継ぎ等で出社する可能性があるなら、『欠勤』または『有給』という扱いにする必要があります。
条件3:傷病手当金を退職日まで受給し退職後も労務不能が続いていること
1.在籍中に医師から労務不能と認められ
2.退職後も労務不能状態が続いている
状態であれば、『受給開始日より1年6ヶ月』まで、傷病手当金は退職後でも引き続き受給できます。
条件4:退職前日までに連続3日以上の労務不能期間があること
退職日の前日までに3日以上連続して会社を休んでいる必要もあります。この休んでいる期間を『待機期間』と呼び、有給、土日祝日の休み、欠勤のどれかでもカウントすることができます。
ただし、待機期間中の傷病手当金については支給されませんので、4日目以降の日から支給されます。
条件5:傷病手当金の支給日から1年6ヶ月以下であること
傷病手当金は、支給日から1年6ヶ月が受け取れる限度の日になります。実際に受給している期間が1年6ヶ月ではなく、受給し始めてから1年6ヶ月です。
条件6:休業中に給与以上の傷病手当金をもらっていないこと
会社によっては休職期間中でも一定の給与を出すという制度を設けている場合がありますが、その際の給与額が傷病手当金よりも多い場合は傷病手当金の支給対象外になります(ただし、休職中の給与額が傷病手当金よりも少ない場合は差額分の支給を受けることはできます)。
退職後は失業手当を受けられるため、傷病手当金の申請を迷う方も多いと思います。
傷病手当金の支給期間が終わってから、失業手当に切り替えることができるので、長期にわたって働けない場合は、傷病手当金の支給期間が終わってから、失業手当を受けるとよいと思います。
そもそも、失業手当の給付を受けるには「就職活動をしていること」が条件となるので、就業不可の場合は無理に就職活動をする必要がなくなります。